恋人が離れていくのが辛いわけではないの(1)建礼門院右京大夫集
1.秋の月が明るい夜
物思いにひたる秋の夜、月の明るい夜に詠んだ歌です。
「名に高き ふた夜のほかも 秋はただ
いつもみがける 月のいろかな」
用字は、「な璽多か支希堂よのほ可裳
秋盤多ゝい徒毛み可希流つ支
乃意路可奈」
歌意は、「美しさで有名な中秋の名月(陰暦八月十五日)と、九月十三日のふたつの月は、やはり磨いたような月の色ですこと」
名月を眺めた作者の心もいくらか晴れてきたのでしょうか。月を見やる気持ちは、いつの世も変わりがないようです。
参考文献:建礼門院右京大夫集 新潮社