六祖慧能に寄せて道元は(1)

  1. 道元の和歌『水鳥の・・・』

釈文:「水鳥の行くも帰るも跡たえて
   されども路はわすれざりけり」

 選字: みつ度りの
      行く无
    閑へる裳あ
      と多盈
        弖

     され登
       毛見ち者
      王春連散
        利け里

歌意:水鳥たちは、秋は南は渡ってゆき、春は北へ帰ってゆく。
   行路には何の跡をも残さないが、水鳥たちはその行路を忘れることがない。*①

こちらは詞書に「応無所住而其心を詠ず」とあり、話は六祖慧能が『金剛経』の一節を聞き、はっとした、時代にさかのぼります。

         *出典:①道元の和歌  松本章男