六祖慧能に寄せて道元は(2)
2.六祖慧能とは
「応無所住而生其心」を詠ずと題し、道元禅師が和歌を詠んでいます。まず、その背景を探っていきましょう。
ときは、中国禅宗の五祖弘忍(601〜674)が黄梅県の東馮母山(湖北省黄梅県双峰山の東山寺)にて禅風を挙げている頃です。
山から薪を取り、市場で売り生計を立てていた慧能は、ある日、僧侶が『金剛経』を誦するを聞き、開悟します。
その時の一節が、「応無所住而生其心」(まさにとどまるところ無くしてその心を生ずべし)です。
早速、弘忍の元へ参じ、寺男として労務に従事すること八ヶ月余り。五祖が、大衆に「汝ら自らの悟りを偈に作り呈せよ」と告したところ、教授師の神秀が、
「身は是れ菩提樹、心は明鏡台の如し、時々に勤めて払拭し、塵埃を惹かしむること莫れ」という偈を呈した。
さて、慧能はいかに、この続きは次回にいたしましょう。
参考文献:禅の古典詳解 芳賀幸四郎他