心楽しく遊ぶ黄庭経(1)
1.王義之の黄庭経
日本の仮名書道の源は東晋時代の書聖、王羲之(303〜361?)に辿ることができます。
上記は、王羲之の「小楷」または、「細楷」と呼ばれる一字が1cmより小粒の楷書です。
王羲之の書と言われるものは、大部分が行草書です。楷書の中には、「細楷」と呼ばれる
「黄庭経」「楽毅論」「東方朔画賛」等が見られます。
「黄庭経」は、道教の養生法を説いた書で、王羲之の楷書を代表するものです。
ただ、初唐時代の確立した楷書を見慣れた、現代の私たちには少し違和感を覚えるかも
しれません。
王羲之は、当時、能書家として有名な衛夫人に書を師事し、後漢の張芝や魏の鍾繇を
熱心に学び、大成したといわれています。義之の書には、型にはまった書というよりも
自らの気持ちを表し始めたものと言えるでしょう。
参考文献:「作品を変える王羲之書法」 吉澤鐵之著