三色紙の真打、升色紙の登場(3)
3. 和歌の意味を知る To Know the meaning of the Waka
「いまはゞやこひしなましを あひみむと
たのめしことぞ いのちなりける」
古今集十三段恋の項に載る清原深養父の歌です。
「今はもう恋こがれて死んでいたでしょう。もし、あなたが将来を
約束してくれなかったなら。やがて、一緒になろうと言ってくれた、
あの言葉こそ、命ほどに大切に思うものなのです。」
なんと激しい恋の歌でしょうか。
その歌意に合わせるかのように、一行目から墨がたっぷりと入った
妖艶な始まりとなります。
二行目は、一行目に少し間を空けながら楚々とした、円転のシャープ
な線が寄り添います。
三行目は消え入るような渇筆にして、四行目は、墨継ぎをして、重なる
ように行を形作っています。