こんな時こそ「愛語」(5)

5. 愛語を書いてみる
最後に、道元は次のような注釈をつけています。
「この四つの実践徳目ー布施・愛語・利行・同時ーの一つ一つが、それぞれ四つの実践徳目を具備しているから、合計で十六の実践徳目になる」

つまり、布施をするとき、そこには愛語もあり、利行もあり、同時もある。それで四✖️四=十六なのです。逆に言えば、これらを一つずつ別々に実践しようなどと思わないで欲しいということです。*①

そして、愛語を書いてみました。            

道元禅師が著された「正法眼蔵」の愛語の項の抜粋を現代語に訳して書いたものです。
あまり続けずに読みやすい文字を用いています。構成は、作りすぎずに自然に右から左へ流れるようにしました。

現代の書の分野では、「近代詩文書」や「漢字かな交じり書」と呼ばれています。
私たちは、ともすると今よりもっと、と何かを求める気持ちが強くなって先の方を見たり、後ろを振り返ったりしてしまいます。

それを、道元禅師は、そのままでよいと書かれました。良寛さんは大いに感ずるところがり「愛語」を書き写したのでしょう。お互いに思いやりの言葉をかけたいものです。

                   *出典:① 正法眼蔵 道元 ひろさちや