山のあなたに(8)和泉式部日記より

8.お待ちするよりほか
釈文:「かやうなるをりたまさかにも待ちつけきこえさするよりほかのことなければ、ただいかにものたまはするままに、と思ひたまふるを、よそにても見苦しきことにきこえさすらん」

選字は「かやう奈流をり堂万佐可爾 裳待ちつ希支許えさ須るよ利ほ可農こと 那介連八多ヽい可耳毛能堂ま盤須るまヽ二 登おも比多万布る越よ所爾ても見久流志 き故と耳支こ盈さ須ら无」

鑑賞:「待ちつけきこえさする」きちんとお待ち申し上げる「よそにても見苦しきことに」別々に暮らしていてさえ、見苦しいことのように申し上げていることだろう。

参考文献:和泉式部日記 和泉式部集 野村精一校注 新潮社