行書般若心経-無無明亦(3)集字聖教序より
3.苦集滅道も
釈文:「無苦集滅道」
書き下し文は「苦集滅道も無し」
鑑賞:「苦集滅道」とは四諦である。四諦とは、原始仏教の根本の教えで、苦諦・集諦(じったい)・滅諦・道諦のことである。「諦」はまこと、真理、またそれをさとること。
具体的には、1)人生は苦であるという真理(苦諦)。人間の現実の相をあらわす。2)苦の原因に関する真理(集諦)。人の欲望や執着の心にある。
3)苦を滅した悟りに関する真理(滅諦)。苦悩の原因である煩悩が全てなくなった状態。4)悟りに到る修行方法を説いたもの(道諦)。
これらが、人間と仏の世界がまったく別のものではなく、一なる世界であることをしめす。
参考文献:般若心経講和 鎌田茂雄著 講談社学術文庫