行書般若心経-無無明亦(1)集字聖教序より

1.無明も無く
釈文:「無無明亦無無明盡」
書き下し文は「無明も無く、亦た無明の尽くることも無く」

鑑賞:「無明」とは真理に暗いこと。一切の迷妄・煩悩の根源。三惑の一つ、十二因縁の第1支。本来、無明といった迷い実体はない。よって無明が尽きることもない、と説く。

無明がそのまま仏性であり、この身はありのままに仏の姿をあらわしているが、通常はそれに気づかずにいるだけである。空の中では、無明も無いし、無明が尽きることはない。

参考文献:般若心経講和 鎌田茂雄著 講談社学術文庫