行書般若心経-是故空中(3)集字聖教序より

3.「乃至」の二字で
釈文:「無眼界乃至無意識界」
書き下し文は「眼界も無く、乃至意識界も無し」

鑑賞:この中で眼界から、「乃至」の二字で間の十六界を省いて最後に意識界で全体をあらわしている。眼耳鼻舌身意やそれに伴うものがないということは、執着しないことである。

まなこでものを見れば、そこからの情報にとらわれがちである。心を奪われることもある。

宮本武蔵は『兵法心持の事』の中で「心のかたよらぬ様に心をまん中にをきて、心を静にゆるがせて、そのゆるぎのせつなも、ゆるぎやまぬ様に、能々吟味すべし。」と述べる。

参考文献:般若心経講和 鎌田茂雄著 講談社学術文庫