行書般若心経-是故空中(1)集字聖教序より

1.是の故に
釈文:「是故空中 無色無受想行織」
書き下し文は「是の故に空の中には、色も無く、受・想・行・織も無く」

鑑賞:「是故空中」「空」の立場に立てば、もはや五薀もない、絶対否定であると説く。すでに述べたように、「色」は物質である。身体で触れることができるすべてのものは「色」の中に入る。

そして人間の主観的なものの内、「識」が主なものであり、この識と外界との関わりによってできるのもが受想行の三つのはたらきである。

また、ここで原始仏教以来説かれてきたことに対して革新的な変化があったが、詳しくは後述することとしたい。

参考文献:般若心経講和 鎌田茂雄著 講談社学術文庫