空行く月にも(1)和泉式部日記より

1.空の情趣を
釈文:「ひと夜の空の気色の、あはれに見えしかば、心がらにや、それよりのち心苦しとおぼされて、しばしばおはしまして、ありさまなど御覧しもて行くに」

選字は「ひと夜乃空農遣し支の阿者連に見 盈し可盤心可羅耳やそれよ里のち 心苦事と於本されて志者ヽヽお盤しま志 傳あ利佐ま奈と御覧し毛て行九爾」

鑑賞:「ひと夜の空の気色」前夜の空模様。女の様子を象徴し、次につながる。「心がらにや」宮の性格からか。

参考文献:和泉式部日記 和泉式部集 野村精一校注 新潮社