うぐいすの声にいざなわれて(13)和漢朗詠集を書く
13.あさみどり色に澄んだ空に
釈文:「あさみどり春たつ空に 鶯のはつこゑまたぬ人はあらじな」 麗景殿女御
書き下し文は「あさみとり者るたつそらにうくひ春能 者つこゑまたぬひとはあらし那」
鑑賞:『続後撰集』春上「麗景殿の女御の屏風に 紀貫之」と出る。麗景殿女御は代明親王の女荘子女王で、天暦四年村上天皇の女御となり、寛弘五年に没す。ただし、貫之は天暦四年より前に亡くなっているので、作者を貫之とするのは誤りか。
現代語にすると「立春になり浅みどり色に澄んだ空を見上げて、春の訪れを告げるうぐいすの初音を待ち遠しく思わない人はいないだろう。」
参考文献:和漢朗詠集 川口久雄訳注 講談社学術文庫