うぐいすの声にいざなわれて(12)和漢朗詠集を書く
12.新年の早朝に
釈文:「あらたまの年たちかへるあしたより またるヽものは鶯のこゑ」素性
選字は「あら多まのとしたち可へるあしたよ利またるヽものはうぐひ春のこゑ」
鑑賞:『拾遺集』春に「延喜御時月次屏風に 素性法師」として出典。『枕草子』「鳥は」の段に「『年たちかへる』など、をかしきことに歌にも文にも作るなるは、なほ春のうちならましかばいかにをかしからまし」とある。
『源氏物語』末摘花巻に「今年だに声すこしきかせ給へかし、待たるヽものはさし置かれて御色の改まらなんゆかしき」とある。
現代語にすると「年が改まる新年の早朝から、待ち遠しいのは、春の訪れを告げるうぐいすの初音である。」
参考文献:和漢朗詠集 川口久雄訳注 講談社学術文庫