春の尽きるころ朗詠したい(2)和漢朗詠集より

2.竹をめぐらした屋敷で

釈文:「竹院君閑鋿永日 花亭我酔送残春」白
書き下し文は「竹院に君閑かにして永日を鋿(け)すならん 花亭に我酔うて残んの春を送る」

鑑賞:「竹院」竹を植えめぐらした閑静な屋敷「花亭」花の植え込みのある美しいあずまや 

上句は賓客が俗世間を避けて物静かなところに引きこもって暮らす高風をたたえ、下の句は白楽天が病と称してこもり、酒に三月尽を送ることをいう。

現代語にすると「君は、竹院で春尽きる一日を、いつもと変わらず静かに過ごすのだろう。私は花に彩られた小さな家で、酒に酔いながら残り少ない春を惜しみながら見送ることにしよう。」

参考文献:和漢朗詠集 川口久雄訳注 講談社学術文庫