故宮がお亡くなりになるまで(2)和泉式部日記を書いて
2.故宮のはてまで
釈文:「故宮の、はてまでそしられさせ給ひしも、これによりてぞかし、とおぼしつつむも、ねんごろにはおぼされぬなめりかし。」
選字は「故宮のは天ま傳そ事 羅連さ勢多万比しもこれ爾よ理弖所 可志と於本しつヽ無も年无ころ爾八おほ 沙連ぬ奈免里可志」
鑑賞:「故宮」と呼ばれる為尊親王は『栄花物語』によると、長保三年〜四年にかけて流行病にもかかわらず、和泉式部らと夜のお出かけを繰り返したために命を落とした。
大意は、「故宮はお亡くなりになるまで、夜歩きのことで非難を受けたのもこの女のせいであった、と宮は世間を気にされるのも、宮がためらう理由なのだろう。」
参考文献:和泉式部日記 和泉式部集 野村精一校注 新潮社