もっと読みたい名言の宝庫、書譜(2)
2. 草書は、流れうるわしく
読み下し文:草は流にしてのびやかなることを貴び、章は検にして便なるに務む。
然るのち、之を凛にするに風神を以てし、之を温にするに妍潤を以てし、
之を鼓するに枯勁を以てし、之を和するに閑雅を以てす。
故にその情性を達し、其の哀楽をあらわすべし。
出典:「書譜」 孫過庭
大意:草書は流麗、暢達、章草は引きしまって簡潔なのがよい。そのような書きぶりが
できるようになったら、篆書は、はつらつとした精気をもってこれを引きしめ、
隷書はあでやかなうるおいある筆致でこれをやわらげ、草書は骨ばったつよさを
もって躍動感あるものとし、章草は上品なゆとりをもって温和な感じを加えた
いものである。そのようなことができてはじめて、書によって性情や哀楽を表現
できるようになるのである。
出典:「書譜」 今井凌雪編
この文章は、書の表現が、いかになされるかを示していて興味深いものです。
特に、草書は仮名において、変体かなの元となる文字であり馴染みが深いのです。
しかし、書く段になると気持ちの表現はやさしいものではありません。
それは、ここにも記述があるように、流麗さがまさると変化が出しづらくなるからです。
そこで、骨気という、内にあるるつよさをもって動きを表すことが大切になるわけです。
今後、この「骨気」についてはまた触れたいと思います。