夢よりもはかないあの方との間を(3)和泉式部日記を書いて

3.木陰がうっそうとして

鑑賞:「夢よりもはかない」とははかないものの中で最もはかないといわれる夢よりもはかなかったあの方との関係。「世の中」は男女の間で、ここでは為尊親王との恋をさす。
これは「夢よりもはかなきものは夏の夜の暁方の別れなりけり」『後撰集』夏・壬生忠岑などの古歌によるとする説がある。

「四月十余日」陰暦四月の中旬。長保五年(1003)初夏。故為尊親王はその前年六月十三日に亡くなられた。

現代語にすると「はかないといわれる夢よりもはかなかった故宮様との間を嘆いて暮らしているうちに四月になって木陰がうっそうとして日陰になってゆく季節となった。」

参考文献:和泉式部日記 和泉式部集 野村精一校注 新潮社