平親長と月の贈答歌を(1)建礼門院右京大夫集を書いて

1.九月十三日夜に

釈文:「九月十三夜、ことわりのままに晴れたりしに、親長の、物の沙汰などひまなくして」

選字は「九月十三夜ことわ里能まヽ爾晴れ多 梨しに親長のも乃ヽ沙汰奈と 飛満奈久志弖」

鑑賞:「九月十三夜」八月十五夜の月に対して、のちの月と呼ばれる。十三夜の月見は宇多天皇の延喜十九年(919)に始まったといわれる。

「ことわりの」当然のこと。ここでは名月といわれる通り。

参考文献:建礼門院右京大夫集 糸賀きみ江校注 新潮社