父君を亡くされた平親長と贈答歌を(16)建礼門院右京大夫集より

16.再び巡ってくれば

釈文:「暮れぬとも またもあふべき 秋にだに 人の別れをなすよしもがな」

選字は「暮れぬ登毛満多も阿布遍き秋二 堂耳人農王可連越奈寸夜し毛可奈」

鑑賞「よしもがな」方法があればよいの意味。「よし」は手段、方法。『万葉集』に「めづらしき人を吾家(わきえ)に住吉の岸の黄土(はにゅう)を見むよしもがも」がある。「がな」は願望を表す終助詞。

現代語にすると「暮れてしまっても、秋の季節はまたやってきます。人との死別も、せめて秋のように再び巡り会えるような方法はないものでしょうか。」

参考文献:建礼門院右京大夫集 糸賀きみ江校注 新潮社