辯才老師へ贈った詩を臨書して(8)蘇軾の書
8.行くもとどまるも
釈文:「去住両無礙
人天争挽留」
書き下し文は「去住 両つながら無礙
人天 争いて挽留す」
鑑賞:「去住」去はゆくこと、住はとどまること。「無礙」礙はさまたげるの意。二字で完全に自由であること。「挽留」は引きとどめること。
現代語にすると、「行くもとどまるも、全くの自由、人も天人も引きとどめようと競いあう。」
書風:「去住」上の字「秋」を受けて静かに始まる。「無礙」の「無」を思い切って潰し、「礙」は偏と旁のバランスが絶妙で、偏で左へ出し、終画は控えめにしている。
参考文献:蘇東坡詩選 山本和義選訳 岩波文庫