はかない契りを嘆いても(3)建礼門院右京大夫集から
3.しみじみとした夜半に
釈文:「なにとなく 夜半のあはれに 袖ぬれて ながめぞかぬる 星合の空」
選字は「那二登奈具夜半の阿者れ爾處てぬ 連弖な可免曽可年流星合の空」
鑑賞:「夜半」は夜、夜間のこと。この言葉がなんとなく趣があり、しんみりとした気分になる。このまま漢字で書いても見栄えがする。「星合」と対照的に位置していることも印象深い。
歌意は「なんとなく夜半のしみじみとした趣にうたれて、溢れる涙に袖も濡れ、眺めているのがつらく思える星合の空よ。」
参考文献:建礼門院右京大夫集 糸賀きみ江校注 新潮社