ほととぎすの初音を聞きながら(1)建礼門院右京大夫集より
1.夜がすっかり
資盛を亡くし、生きる張り合いを失い何かにつけて思い出すのは愛しい人の面影、そんな中の四月。
釈文「四月廿三日、明けはなるるほど、雨すこし降りたるに、東のかたの空にほととぎすの初音鳴きわたる、めづらしくもあはれにも聞くにも」
選字は「四月廿三日明希者難るヽ本とあ免春
こし降利多留耳東の可た農空
爾ほとヽき寸乃初音な支わ多流め
徒ら志久裳阿盤連にもき久二茂」
鑑賞:「初音」はその年初めての鳴き声。まだたどたどしい鳴き方に昔の人は哀れを感じた。
『枕草紙』に「ついたちより雨がちに曇りすぐす。つれづれなるを、ほととぎすの声、たづねにいかばやといふを、われもわれもと出で立つ。」と鳴き声を求めて賀茂の先まで繰り出していく様子が描かれている。
参考文献:建礼門院右京大夫集 糸賀きみ江校注 新潮社