行草書巻・その二(3)董其昌を臨書する

3.香象河を

釈文:「香象度河。若取於相。
    壁観婆羅。」

書き下し文は「香象河を度る。相を取るが若し。
       壁観の婆羅。」

鑑賞:漢字の字形を四角にせずにさまざまな工夫が見られる箇所である。「象」は頭部を大きく太くし、兜のように力強い。

その下の「度」は「广」で左へ張り出し勢いが感じられる。一方終画は筆を開いて重厚におさめている。やや筆を止めた位置が「广」より上にあるのも心にくい配慮か。

「於」の偏は草書にすると、次の「相」の偏と同じになってしまうことから、「於」は縦画を露峰で「相」は蔵峰にして横画を長く余白へ働いている。

参考文献:董其昌集 二玄社