弟子の黄庭堅はひたすらに(11)松風閣詩巻から

11.張侯は悲しみに

松風閣詩巻 黄庭堅筆 祥香臨

解説:「何時到眼前」はいつ現れるのか、の意だが、これには背景がある。張侯は張耒(ちょうらい)(1054〜1114)のこと。

張耒は宋代の詩人。字は文潜。号は柯山(かざん)。江蘇省の人。少年時代から文才があり、遊学中に蘇軾に認められて門人となり、のち蘇門四学士の一人である。

潤州 (江蘇省) 知事のとき蘇軾の失脚と共に左遷され、不遇のうちに陳州(河南省)で没した。多くの門人を指導し、苑丘先生とよばれた。

蘇軾の死を聞いて悲しんだ張耒は喪に服したが、旧法党への圧力が強まり、黄州安置となったため、来ることができず、いつ来るかといった。

参考文献:漢詩と名蹟 鷲野正明著 二玄社