弟子の黄庭堅はひたすらに(9)松風閣詩巻から
9.暁に
釈文:「暁見寒渓有炊煙
東坡道人已沈泉」
書き下し文:「暁に見る 寒渓に炊煙有るを
東坡道人 已に泉に沈む」
鑑賞:「東坡道人」は蘇軾、号が東坡だった。超俗に人であったことから「道人」と呼んだ。
「見」の六画目は直筆で軽やかに抑揚をつけた線から、終画はしっかりと受けて重厚にはねている。
「寒」は左払いと右払いの強さを微妙に変えてバランスを取っている。すぐ下の「渓」が引き締まって自然な流れを感じさせる。
参考文献:漢詩と名蹟 鷲野正明著 二玄社