続・蘇軾に見る精神性(4)黄州寒食詩巻(其のニ)より
4.今日が完食の
釈文:「那知是寒食
但見烏銜紙」
書き下し文は「那ぞ知らん 是れ寒食なるを
但だ見る 烏の紙を銜(ふく)むを」
現代語にすると「どうして知っているだろうか、今日が寒食の日だと。ただ見るのは、烏が紙銭を加えて飛んでいくのを。」
鑑賞:「紙」は紙銭のこと。寒色の日には紙銭を焼いて墓を祀った。「紙」が原本では「帋」と書かれているが、同じである。「銜」から「帋」にかけて思い切って引いた縦画が心地よい。
参考文献:漢詩と名蹟 鷲野正明著 二玄社