続・蘇軾にみる精神性(2)黄州寒食詩巻(其のニ)より

2.小さな家は

黄州寒食詩巻 蘇軾筆 祥香臨

釈文:「小屋如漁舟
    濛(々)水雲裏」

書き下し文は「小屋(しょうおく)漁舟の如し
       濛々たり 水雲の裏」

現代語にすると「この小さな家は、漁舟が、 
雨と雲が濛々と立ち込める中を漂っているようだ。」

鑑賞:「小屋」の「屋」の左払いはひときわ重みがあり、筆圧を最後まで抜いていない。右の行の「戸」の払いが軽やかなのに対して異なることがわかる。

参考文献:漢詩と名蹟 鷲野正明著 二玄社