ゆれ動く心を胸に抱きつつ(6)建礼門院右京大夫集より
6.はてしなく続く雲よ
釈文:「我が心 うきたるままに ながむれば
いづくを雲の はてとしもなし」
選字は、「我可心う支多流まヽに那可無れ者
以徒久越雲の盤傳とし裳奈志」
歌意は、「ゆれ動く心を抱きながら、都の方向を眺めると、雲は
果てしなく続いています。私の思いも同じようにはて
しないのです。」
鑑賞:「うきたる」は落ち着いていない、心が動揺するの意で
す。「うき」は「浮き」に「憂き」を響かせて「雲」の
縁語。
参考文献:建礼門院右京大夫集 糸賀きみ江校注 新潮社