良寛の戒語を臨書する(3)一巻の冒頭より
3.へらずぐち
原文:「へら春ぐち
ひやう里ぐち
人能毛のいひきらぬ中にものいふ」
釈文:「へらずぐち
ひやうりぐち
人のものいひきらぬ中にものいふ」
七行目の「へ」は墨をつけて大きく書かれて印象的です。
「へらずぐち」とは、負けおしみやでまかせを言うこと。また、相手がどう思う
かかまわず、にくまれ口をたたくことです。話し言葉に敏感な良寛さんが浮かび
ます。
九行目は、長い文をリズムよく流れに乗せて書いているように見えます。特に、
「毛の」で幅を出して下につなげています。
参考文献:良寛の名品百選 加藤僖一偏著 考古堂