かなしという言葉は(2)建礼門院右京大夫集を書いて
2.世の中の人は
そして作者が詠んだ歌が、
「なべて世の はかなきことを かなしとは
かかる夢みぬ 人やいひけむ」
選字は、「な遍てよ能盤可奈幾こと越可奈
し登者駕ヽ流ゆ免三ぬ日とや
以飛希無」
歌意は、「全般に世間の人は、人の死をかなしいというけれど、それは
私のように、夢を見ているようなつらい経験をしたことがな
い人が言ったことでしょうか。」
作者は「かなし」という言葉では表すことのできない体験を夢のようと
名付けて、悪夢に苦しめられているのです。
参考文献:建礼門院右京大夫集 糸賀きみ江校注 新潮社