とらわれの身となった重衡へ(4)建礼門院右京大夫集を書くとき
4.朝に夕に
重衡の往時を偲んで詠んだ歌が、
「朝夕に 見なれれすぐしし そのむかし
かかるべしとは 思ひてもみず」
選字は、「あ佐ゆ布爾見奈連須久志ヽ處の
無かし閑ヽ流遍四と者思ひて毛み春」
歌意は、朝に夕べに、親しく過ごしていたその昔に、まさかこのようになって
しまうとは、思ってもみなかったことです。
宮中では、女官たちをからかったりして、慕われていた重衡でしたが、変わり
果てたお姿に哀切の念を抱かずにはいられません。
参考文献:建礼門院右京大夫集 糸賀きみ江校注 新潮社