維盛の恋に口を挟む(4)建礼門院右京大夫集を書いて

3.枕も待っています

建礼門院右京大夫集 祥香書

たちかへる なごりこそとは いはずとも
 枕もいかに 君を待つらむ


選字は「た遅可倍る難こ里故所とえい
    盤須とも万久羅毛意か耳き
    身をま徒らん」

歌意は、お帰りになるのがお名残惜しい、とは申しませんが、しばらくお越しが
    ないので、枕もあなたをお待ちしていることでしょう。

鑑賞:「枕」は言うまでもなく、頭を支えるものですが、恋の場面ではしばしば
   登場します。木枕の上に紙を置いて使っていたようです。

 「まくらよりあとより恋のせめくれば せんかたなみぞ床中にをる」古今集1023
  恋物語の脇役として枕は、欠かせないようです。

  参考文献:建礼門院右京大夫集 糸賀きみ江校注 新潮社