昔の手紙を整理していると(2)建礼門院右京大夫集を書きながら
2.物思いにふけり
「ながめいづる そなたの山の 木ずゑさへ
ただともすれば かきくもるらむ」
選字は、「那可免い徒る處な多の山乃木須ゑさへ
多ヽと裳すれ者閑き供もる羅ん」
歌意は、物思いにふけり空を眺めていたら、向こうの山の梢まで一面に曇るのは、私の目が涙のせいだろうか。
作者は、窓からは景色がよく見えないためか、空を眺めてため息をつきもの悲しくて涙に濡れる、気落ちした様子が痛々しいです。
参考文献:建礼門院右京大夫集 糸賀きみ江校注 新潮社