本阿弥切の魅力(2)
2.本阿弥切の筆者は? Who is the writer of the Honami
本阿弥切の筆者は小野道風と伝えられています。寛永三筆の一人である
烏丸光弘(1579〜1638)も小野道風に間違いないと判定し、寛永十四年
巻第十四の巻末に添えた跋文に記しています。
他にも、初代畠山牛庵(1589〜1656)は小野道風以外にはいない、と書い
ているのです。
しかし、これはどうやら怪しいと言わざるを得ません。なぜなら、書風を
見ますと、小野道風の現存する「屏風土代」などとは異なるからです。
書風は、書き振りですが、その筆者固有のものです。本阿弥切は一貫した書体
で書かれていることから、一人の筆者によると思われます。
おそらく筆者は、道風よりも時代が下がった平安後期十二世紀頃に活躍した
能書家と思われます。伝小野道風と言われていたのは、当時流行っていた
鑑定家のランク付けによって、最高の評価を得ていた事の証であると言える
のでしょう。