式子内親王と贈答歌(2)建礼門院右京大夫集
2.神のおぼしめのまま
斎院に使える身の式子内親王は、桜の花が散るのは惜しいけれど、神のおぼしめのままなのよ、とまだ少女だった作者に詠んでいます。
「しめのうちは 身をくだかず桜花
をしむこころを 神にまかせて」
用字は、「志免のう遅は身毛久た可春佐九
羅者な越し無こヽ路を神璽
まか世弖」
お返しに、作者が詠んだ歌が
「しめのほかも 花としいはむ 花はみな
神にまかせて 散らさずもがな」
用字は、「しめ能ほ可毛花と志い者ん
者那盤み奈神璽まか世て千ら散
須毛可な」
神の思し召しで、桜を散らさずにいてほしいものです、という意味の返歌です。
この歌が、建礼門院右京大夫集中で最も若い頃の作品で驚くばかりです。
参考文献:建礼門院右京大夫集 新潮社