雲の上にひかりを見る-建礼門院右京大夫(5)
5.今回は一条摂政集を臨書して
『一条摂政集』とは、藤原伊尹これただ(924〜72)の和歌を収録した家集です。伊尹は右大臣九条師輔の子、伊尹の屋敷が一条にあったことから一条攝政と呼ばれます。『後撰和歌集』の撰集に関わり、
その後の勅撰集に歌が四十首近く入集している事から当時から歌人として、かなり認められていたようです。
筆跡は、江戸時代に本文を西行(1118〜90)表紙二首を藤原定家(1162〜1241)の筆跡と伝えています。近年では、俊成の書写スタッフと西行による写本と考えられています。*①
書風は、しっかりとバランスを取りながら、変化に富んでいて見るものを飽きさせません。かと言って、大げさな動きはなく普段着の様相もあります。
時代が変化を遂げつつあり、これまでのゆったりとした連綿の書から新たな局面を見せていることが書風からもわかります。今回は、一条摂政集をならい建礼門院右京大夫集を記しました。
*出典:①一条摂政集 名児耶明解説 二玄社