和泉式部日記を書く(五十七)-津の国の-(1)

1,わりなくうらむる人に
釈文:「わりなくうらむる人に 『津の国の こやとも人を いふべきに ひまこそなけれ 蘆の八重ぶき』」

選字は「わり那久う羅無る人爾 津の久に農こやと裳人をい布遍支二 飛満こ曽難佐連阿し乃八重ふ支」

鑑賞:この歌は藤原公任が称賛したことで著名な和歌である。参考歌として『古今六帖』二「津の国の蘆の八重ぶきひまをなみ恋しき人に逢はぬころかな」

「津の国」は現在の大阪府。「昆陽」の序。「こや」は地名の「昆陽」と「来や」をかける。「蘆の八重ぶき」は隙間がなくぎっしりとした様子。

歌意は「どうぞいらしてください、と申し上げたいのですが、何にせよ全くひまがないものですから。」

参考文献:和泉式部日記 和泉式部集 野村精一校注 新潮社