穂積皇子と但馬皇女との悲恋(1)金沢本万葉集から

1.秋の田の
原文:「秋田之穂向所縁異所縁君爾奈名事 痛有登母」

書き下し文は「秋田之(あきのたの)穂向所縁(ほむけのよする)異所縁(かたよりに)君爾奈名(君によりなな)事痛有登母(ことかたうとも)」

歌意は「秋の田の稲穂が片側により傾くように、世間がどれほど騒いでも私はあなたに従いたい。」

解説:但馬皇女は天武天皇の皇女であり、母は藤原夫人水上娘である。『続日本記』によれば、穂積王子も天武天皇の皇子であり、但馬皇女とは異母兄妹に当る。

参考文献:万葉秀歌(一) 久松潜一著 講談社学術文庫