大津皇子と大伯皇女の贈答歌(1)金沢本万葉集より
1.大津皇子とは
原文:「大津皇子窃於伊勢神宮上来時大伯 皇女御作歌二首」
背景:大津皇子は、天武天皇の皇子である。大伯皇女は同母姉。文武に優れ、氏は当代有数とされその詩は『懐風藻』に所収される。歌は万葉集に収まり異色とされる。
天武天皇の死後、大津皇子は草壁皇子とともに皇位継承の有力な候補であった。そのため、草壁王子の実母である持統天皇に疎まれ、謀反の名目で処刑された。
大伯皇女は伊勢神宮の斎院であられたので、弟は伊勢まで訪ねてこられたのであろう。
参考文献:万葉秀歌(一)久松潜一著 講談社学術文庫



