本意でない宮仕へ「巌の中」(3)和泉式部日記から
3.巌の中こそ
釈文:「巌の中こそ住ままほしけれ、また憂きこともあらば、いかがせん、いと心ならぬさまにこそ思ひ言はめ、なほかくてやすぎなまし」
選字は「い盤保農中こ處寸ま 萬ほ志介連満多うき許ともあら八伊 可駕世无以登心那らぬさ万にこ曽思ひ 言は免奈保可久亭や春支な万し」
鑑賞:「巌の中」は『古今集』 雑下 読み人知らず「いかならむ巌の中に住まばかは世のうきことの聞えこざらむ」による。「いと心ならぬさまにこそ思ひ言はめ」本心から山(出家)に入ったものではないと、人は思い口にするだろう。
「なほかくてやすぎなまし」やはりこのまま、過ごしてしまおうか。
参考文献:和泉式部日記 和泉式部集 野村精一校注 新潮社
