霜白き朝に童が遅れて(6)和泉式部日記から

6.お召しがあったのに
釈文:「もて行きて、『まだこれよりきこえさせ給はざりけるさきに召しけるを、今まで参らず、とてさいなむ』とて、御文取り出でたり。」

選字は「もて行支天またこれよ里き故えさ勢多 ま者沙里希る佐支耳召し介類を 今満亭万ゐら須とて佐い奈むと傳御文とり出て堂里」

鑑賞:「もて行きて」女のもとへ。「まだこれよりきこえさせ給はざりけるさきに召しけるを」こちらから、まだお便りを差し上げる前に、お召しがあったのに。

参考文献:和泉式部日記 和泉式部集 野村精一校注 新潮社