霜白き朝に童が遅れて(5)和泉式部日記から
5.宮のご機嫌悪く
釈文:「とのたまはせたる、今ぞ人参りたれば、御気色あしうて問はせたれば、『とく参らでいみじう、さいなむめり』とて取らせたれば」
選字は「登乃多まはせ多類今曽人参利多れ者御気色 あし有傳と盤せ堂れ者と具満井らてい三 しう佐意奈無免り登て取ら勢多連盤」
鑑賞:「とのたまはせたる」と宮がおっしゃと。そのとき丁度、童が参ったので、今ごろやってきてどうしたのか、という心持ちで宮はご機嫌がわるくて。
「とく参らでいみじう、さいなむめり」取次が童に『早く参らないので、宮さまがとてもお咎めのようです』と言って宮のお便りを手渡すと。
参考文献:和泉式部日記 清水文雄校注 岩波文庫