霜白き朝に童が遅れて(3)和泉式部日記から

3.袖にも霜が
釈文:「手枕の袖にも霜はおきてけり けさうち見れば白妙にして」

選字は「手枕の楚傳耳毛霜者於支て遣梨 希佐う遅見れ者し路多遍爾志天」

歌意は「今朝ふと目をやると、一面まっしろで涙でぬれた私の手枕の袖にも、霜が降りたようでした。」

鑑賞:「霜」の縁語「置き」に「起き」をかける。「白妙」は白い布で、白い色とかけている。女が目前の風景を瞬時に詠む手腕はさすがである。

参考文献:和泉式部日記 和泉式部集 野村精一校注 新潮社