山のあなたに(7)和泉式部日記より
7.このぬれ衣は
釈文:「このぬれ衣はさりとも着やみなん、と思ひて、『なにごともただ、われよりほかの、とのみ思ひたまへつつすぐし侍るほどのまぎらはしには」
選字は「このぬ連衣者佐利とも着や三奈無と思ひ 亭那耳こ登毛多ヽわれよ里本可能との三 於も飛多ま倍つヽ春久し侍る本と農満 支羅者し爾は」
鑑賞:「ぬれ衣を着る」根も葉もない浮き名を立てられる。この時、女は宮邸に入ることを心に決めたのだろう。
大意は「この非難の責は私が負うこととしよう、と思った。何事も他の人によって定められるのか、と思いながら時を過ごして」
参考文献:和泉式部日記 和泉式部集 野村精一校注 新潮社