ほんの少しぬれただけ、手枕の袖を(4)和泉式部日記から

4.今朝のうちに
釈文:「けさの間に今は消ぬらん夢ばかり ぬると見えつる手枕の袖」

選字は「遣佐農ま耳今者消ぬら无夢は可里 ぬ類と見盈徒る手枕の處傳」

鑑賞:「ぬる」は「濡る」と「夢」の縁語「寝る」をかける。「消ぬ」と「夢」も縁語。

歌意は「今朝のうちにかわいてしまったことでしょう。わずかの仮寝で濡れたように思えたあなたの御袖は。」

参考文献:和泉式部日記 和泉式部集 野村精一校注 新潮社