宮様から代詠を頼まれて(4)和泉式部日記を書いて

4.去り行く秋に寄せて
釈文:「惜しまるる涙に影はとまらなむ 心も知らずあきは行くとも」

選字は「惜しま流る奈美多耳影者と満ら奈無 こヽ楼も志ら須あき盤行九と裳」

鑑賞:「影」は面影の意味。「あき」は「秋」と「飽き」をかける。宮の依頼に答えた女の代詠。

歌意は「惜しまれつつ流れる涙に、去り行く人の影がとどまってほしいと思います。あたかも私の心も知らずに去って行く秋のように。」

参考文献:和泉式部日記 和泉式部集 野村精一校注 新潮社