宮様から代詠を頼まれて(2)和泉式部日記を書いて

2.相手が感動するような
釈文:「あはれと言ひつべからんことなん一つ言はんと思ふに、それよりのたまふことのみなん、さはおぼゆるを、一つのたまへ』とあり。」

選字は「あ者れと 言ひ徒へ可ら無こ登奈无一つい者むと思ふ爾所連 よ利能多万布こ度農み那無さ盤於本ゆる越一つ 農多満へとあ利」

鑑賞:「ことなん」は、歌を詠むこと。「さはおぼゆる」の「さ」は「あはれと言ひつべからん」をさす。「一つのたまへ」は、代詠の依頼。他の女性へ贈る歌を頼むことは、妙であるが、当時としては名誉なことだった。作者はこの依頼に対して悪い気はしていないと思われる。

参考文献:和泉式部日記 和泉式部集 野村精一校注 新潮社