夏の夜に口ずさみたい詩歌(1)和漢朗詠集を書いて

1.風が古木を

釈文:「風吹枯木晴天雨 月照平沙夏夜霜」白
書き下し文は「風枯木を吹けば晴れの天の雨 月平沙を照せば夏の夜の霜」

鑑賞:『白氏文集』「江楼の夕望に客を招く」詩。大江千里は『句題和歌』に下句を題として「月影になべてまさごのてりぬれば夏のよふかき霜かとぞみる」と詠む。

他に『謡曲』「経政」「雨月」などに引用された。

現代語にすると「風が枯木に吹いて枝が鳴ると、晴天に雨かと思われる。月が平らな砂原を照らすと、夏の夜に霜が降りたかと不思議にひきつけられる。」

参考文献:和漢朗詠集 川口久雄訳注 講談社学術文庫