うぐいすの声にいざなわれて(8)和漢朗詠集を書く

8.管弦と調和せず

二行目の釈文:「燕姫之袖蹔収、猜撩乱於旧拍」

書き下し文は「燕姫が蹔(しばらく)収まって撩乱を旧拍に猜(そね)む」

鑑賞:「燕姫」漢の武帝の妃、趙后飛燕のこと。舞の姿が軽やか、飛燕に似ていたといわれる。『飛燕外伝』「撩乱」は入り乱れるさま。うぐいすの声が曲ともつれて合わないこと。

現代語にすると「うぐいすの声が管弦の演奏と合わず、調子を乱している。昔の飛燕のように素晴らしい舞姫も、しばしも舞の手を休め、調子が乱れるのは管弦の拍子が旧式なためかと不思議に思う。」

参考文献:和漢朗詠集 川口久雄訳注 講談社学術文庫